◆所蔵品から◆資料ナンバー5578 鉱物標本 尋常四、五、六学年 の話 資料班 



 
鉱物標本

鉱物標本尋常四、五、六学年

 紺色の、ハードカバーの本のような外観です。
 本を開くようにしてふたを開けると、四角く区切った中に、標本が並んでいます。
 細かいもの(火山灰・砂鉄・湯の花)や、液体は、小さなガラスの筒に入っています。
 液体もあるのです。中身はほとんど残っていませんが、「原油」だって。つまり石油。新潟県産です。なぜわかるかというと、ふたの内側に鉱物名と産地が書かれているのです。

鉱物標本

鉱物標本尋常四、五、六学年

 ふたの内側には、ほかに、「尋常四、五、六学年」「東京鉱物研究所」と、書かれています。 尋常小学校の4年生から6年生の理科の授業で習う鉱物が入っています。

鉱物標本

第四学年・第六学年 尋常小学理科書

 ピースあいちの資料の中の教科書に、昭和10年(1935年)発行の「第四学年児童用 尋常小学理科書」と、昭和14年(1939年)発行の「第六学年児童用 尋常小学理科書」があったので、岩石や鉱物について学ぶ項目を探してみました。

鉱物標本

第四学年 尋常小学理科書
上より、水晶・方解石・黄鉄鉱(右)・黄銅鉱と石英(左)

 4年生では、「第四十 すゐしゃう」「第四十一はうかいせき」「第四十二わうてつくわう・わうどうくわう」の項目があります。ひらがなだと、何のことかよくわかりませんが、水晶・方解石・黄鉄鉱・黄銅鉱です。標本にも入っています。

鉱物標本

第六学年 尋常小学理科書
上より、溶岩・地層・化石

 6年生は、「第二十 火山・火成岩」「第二十二 水成岩・地層」の項目があって、標本には花崗岩や安山岩や火山灰(桜島の火山灰)、砂岩や凝灰岩や、化石も入っています。
 貝の化石は、岐阜県の月吉というところのものです。今は瑞浪市です。瑞浪市には、子どものころ父親に連れられて化石を探しに行ったことがあります。瑞浪の化石が使われているのか、と、親しみがわきました。


詳しい画像はこちらからどうぞ。
http://peace-aichi.com/20131122_koubutsuhyouhon.pdf

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http://www.peace-aichi.com/05_objects.html




鉱物名 産地 解説
1 水晶 山梨県 金峯山 石英の一種で結晶の美しいもの
2 石英 福島県 石川郡 中野
3 瑪瑙 北海道 瀬棚郡 利別 石英の一種
4 玉髄 小笠原 弟島 石英の一種 カルセドニーともいう
5 方解石 埼玉県 秩父郡二子山 石灰岩の主成分 平行四辺形に割れる 光学用に用いる
6 石灰岩 東京府 西多摩郡青梅
7 大理石 茨城県 久慈郡真弓山 石灰岩の一種 装飾に用いる
8 黄鉄鉱 秋田県 小坂鉱山 硫酸の原料
9 黄銅鉱 秋田県 尾去沢鉱山
10 花崗岩 茨城県 西茨城郡稲田 岩漿(がんしょう マグマのこと)が地中で冷えて固まったもの
11 白雲母 福島県 石川郡中野
12 黒雲母 福島県 石川郡中野
13 長石 福島県 石川郡中野
14 硫黄 栃木県 那須山
15 石墨 朝鮮 江陵 グラファイト(黒鉛)
16 コークス 石炭を乾留(蒸し焼き)した燃料
17 石炭 九州 唐津
18 原油 新潟県 長嶺油田
19 磁鉄鉱 長野県 南佐久郡大日向
20 砂鉄 千葉県 銚子
21 赤鉄鉱 満州 南山
22 褐鉄鉱 埼玉県 秩父鉱山
23 錫石 岐阜県 苗木
24 方鉛鉱 新潟県 葡萄鉱山
25 閃亜鉛鉱 新潟県 葡萄鉱山
26 ボーキサイト 印度 アルミニウムを含む鉱石
27 金鉱 福島県 高玉鉱山
28 輝銀鉱 静岡県 伊豆蓮台寺鉱山
29 火山灰 鹿児島県 桜島
30 火山礫 東京府 伊豆大島 噴火で発生する小石(火山灰より大粒)
31 溶岩 富士
32 湯の花 栃木県 那須温泉
33 輝石安山岩 長野県 諏訪 岩漿(がんしょう)が地表近くで冷えて固まったもの
34 角閃安山岩 神奈川県 吉浜 岩漿(がんしょう)が地表近くで冷えて固まったもの
35 軽石 秋田県 小坂
36 泥板岩 東京府 五日市 頁岩(板状に割れやすい)
37 粘板岩 宮城県 桃生郡雄勝浜 スレート 泥板岩がさらに固まったもの
38 砂岩 群馬県 多野郡多胡村
39 礫岩 山梨県 上野原
40 凝灰岩 静岡県 田方郡澤田村 火山灰が積もって岩石になったもの
41 貝化石 岐阜県 月吉
42 木の葉化石 栃木県 塩原